「レ・ミゼラブル」と言えば、とても有名なミュージカルというイメージを持っている人が多くいらっしゃると思います。
映画・書籍ともに見かける機会の多い作品ですが、どんな物語なのか知っていますか?
今回は「レ・ミゼラブル」のあらすじについて、解説をしていきます。
この記事を読めば「レ・ミゼラブル」という作品について詳しく知ることができます!
「レ・ミゼラブル」の簡潔なあらすじ
まず始めに「レ・ミゼラブル」という作品を一言で表すと、
生きること、愛すること、使命を全うして生きることに、生命エネルギーを感じる。
死、死に行く人々のことを考えるきっかけをくれる壮大な物語。
…といったところでしょうか?
しかし、あまりにも抽象的な説明過ぎてさっぱり意味がわからない人も多いと思います。
ここでは詳しいあらすじについて解説していきます。
ジャン・バルジャンの脱獄と更生の物語
「レ・ミゼラブル」の主人公はジャン・バルジャンという男性です。
ジャン・バルジャン家族が飢えに苦しんでいるのを見かねてパンを盗んでしまいます。
しかし、1つのパンを盗んだことにより19年間も投獄され心身ともにボロボロになりました。
釈放後、親切な司教・ミリエルの家に1泊させてもらえますが心がすさんでしまったジャン・バルジャンはあろうことか銀の食器を盗んでしまいます。
しかし司教は「それはあなたにあげたものです」とジャンバルジャンに言うのです。
それからすっかり改心をしたジャン・バルジャンは、“マドレーヌ”と名前を変えて実直に働きついには市長にまでなります。
そしてジャンバルジャンはある女性と運命的な出会います。娼婦が生んだ娘、コゼットです。
ジャン・バルジャンはコゼットを引き取り自分の娘として育てます。
そして物語はコゼットと恋人マリユスの純愛が描かれると同時にフランス革命の動乱が始まります。
貴族の終焉と民衆の反乱という時代の大きな流れの中で、ジャン・バルジャンはコゼットを守るために自分を犠牲にしてしまうのです。
貧困と革命に揺れるフランスの背景
「レ・ミゼラブル」の時代背景は、ナポレオン1世没落直後の1815年10月からルイ18世・シャルル10世の復古王政時代を経て七月革命後のルイ・フィリップ王の七月王政時代の六月暴動とその翌年の1833年までの18年間になります。
1人の男性の人生の18年間を通して描かれる作品となっています。
愛、赦し、そして社会の不平等を描く物語
理不尽な罪によって人間不信に陥ったジャン・バルジャンが、1人に司教によって善人に生まれ変わる描写が印象的な物語となっています。
ジャン・バルジャンの素性を知っているジャヴェール警部によって何度もピンチになりますが、人助けによってピンチを潜り抜けていきます。
また脱獄囚として常に隠れる生活を送っていた最中、コゼットと出会い家族になっていく様子。
コゼットをマリウスのもとに送り出し、子離れを経験するジャン・バルジャンの心情の変化や愛に心を打たれます。
そして、作品のタイトルでもある「レ・ミゼラブル=あぁ無情」が物語る社会の不平等も考えさせられます。
「レ・ミゼラブル」の主要な登場人物紹介
ここでは「レ・ミゼラブル」の主要な登場人物を5名ご紹介します。
ジャン・バルジャン:主人公の元囚人
本作の主人公です。
貧しい農家の子供として生まれた情の深い・/考え込むタイプの男性です。
家族のためにパンを盗んだ罪で19年間投獄します。
長い監獄生活で社会への憎悪を募らせていたが、心優しき司教に出会ったことで過去を捨てて正しい人生を歩み出しました。
ファンティーヌ:貧困に苦しむ母親
知人に預けている娘のコゼットの養育費のため市長が所有する工場で働く美しい女性。
コゼットの父親は若い頃にファンテーヌの元を去り帰ってきませんでした。
愛する娘のためにお金に困窮するあまり、自慢の美しい髪や歯・身体まで売ってしまいます。
コゼット:ファンティーヌの娘、物語の希望
ファンテーヌの娘です。
少女の頃はテナルディエ夫妻の宿屋で下働きさせられていましたが、ジャン・バルジャンに引き取られてからは穏やかに暮らし美しい娘に成長します。
そして、月日が経ちマリウスと恋に落ちます。
「レ・ミゼラブル」のポスターに描かれている少女はこのコゼットです。
ジャベール:法の執行者でジャン・バルジャンの追跡者
法と神こそが全てだと考えている厳格な警部。
脱獄囚はあるジャン・バルジャンを執拗に追い、法の下で捌くことに信念を燃やすことに。
両親は囚人で刑務所で生まれました。
エポニーヌ:革命に関わる若い女性
パリ郊外のモンフェルメイユで宿屋を営むテナルディエ夫妻の娘です。
コゼットとは幼少期を共に過ごしていました。
マリウスに片思いしていますが、叶わぬ恋心を抱きながらもコゼットと再会できるように手伝ってくれるという根は心優しい女性。
マリウス:若き革命家でコゼットの恋人
学生たちの革命に加わる青年です。
実家のポンメルシー系は貴族であり家柄は良いのですが、革命に加担したため家族から縁を切ると言われています。
街中で出会ったコゼットに恋をします。
「レ・ミゼラブル」におけるジャン・バルジャンの物語と事件
ここでは「レ・ミゼラブル」におけるジャン・バルジャンの物語と事件について解説します。
パンを盗んだ罪での投獄と脱獄
簡潔なあらすじのところでもお伝えしましたが、極度な貧困に苦しみ家族が餓死しないためにジャン・バルジャンはパンを盗んだ罪で19年間という長きに渡り投獄します。
ただ、飢えをしのぐために盗んだ1つパンをきっかけにジャン・バルジャンの人生を大きく変わります。
トゥーロンの徒刑場で4度も脱走を試みたがいずれも失敗しました。
脱獄を試みたことが原因で刑はさらに重くなり、19年の間 徒刑場につながれたのです。
司教との出会いによる改心
刑期を終えて出獄したとき、ジャン・バルジャンは社会と人間に対して深い憎しみを抱くようになり19年の間一適も涙をこぼしたことはありませんでした。
出獄した後に出会ったのがミリエルという司教で、ミリエルとの出会いがジャン・バルジャンの心を改めるきっかけとなりました。
ミリエル司教に突然銀器を贈られた後、ジャン・バルジャンは逃げるように町を出て野原を歩いていきながら突然のほどこしに頭が混乱してしまいます。
心の中の天使と悪魔がうごめき合っていたジャン・バルジャン。
あろうことか、無意識に子どものお金を奪ってしまったのです。
「あんなに深く慈悲をかけてもらったのにもう司教を裏切ってしまった…自分はなんとみじめな男なのだろうか…」とジャン・バルジャンは泣き崩れるのです。
ちなみに、ジャン・バルジャンが改心するきっかけになったこの事件はミュージカルでは割愛されています。
偽名での市長就任と正体発覚
ジャン・バルジャンは改心しマドレーヌと名乗って街で働くようになり、ついには市長にまでなりました。
しかし、ジャン・バルジャンを追跡する警部がいました。
ある事件をきっかけに、ジャン・バルジャンの前科が発覚してしまいます。
法の裁きを受けるべきか、愛する人々を守るべきか…かつての罪に向き合い、新しい人生との間で葛藤します。
ジャン・バルジャンはどうなってしまうのでしょうか?
「レ・ミゼラブル」におけるファンティーヌとコゼットの関係と事件
ここではファンティーヌとコゼットの関係と事件について解説します。
ファンティーヌの犠牲と貧困
バルジャンと対照的な悲劇のヒロイン、ファンテーヌが登場します。
パリで若き恋人に捨てられ、私生児の娘コゼットを身籠ったファンテーヌは、故郷に戻ることを余儀なくされます。
モンフェルメイユの宿屋に娘を預け、ファンテーヌは工場労働者として働き始めます。
しかし、彼女の境遇は周囲の人々から白い目で見られ、やがて解雇されてしまいます。
愛する娘のため、ファンテーヌは娼婦へと身を堕としていきます。
それでも娘への愛情だけは決して失うことはありませんでした。
コゼットへの仕送りのために、ファンテーヌは美しい髪と歯を売り払うのです。
コゼットのテナルディエ家での虐待
宿屋を経営してたテナルディエ夫妻。
宿の経営は順調とは言い難く日を追うごとに借金がかさむばかりでした。
真面目に働こうとしない夫妻は、ファンティーヌから預かっている娘・コゼットに対しても虐待同然にタダ働きさせていました。
挙句の果てにはコゼットの私物を質屋に入れてしまい、養育費と称してファンティーヌに金をせびり続けていました。
ジャン・バルジャンによるコゼットの救出
ファンテーヌとの約束を果たすために、ジャン・バルジャンは宿屋の主人・テナルディエ夫妻からコゼットを引き取ります。
幼いコゼットを酷使していた夫妻から解放し新たな生活をスタートさせる2人。
パリに移り住んだじゃん・バルジャンは、修道女の協力を得てコゼットを大切に育てていきます。
やがてコゼットは母親に似た美しい女性へと成長していくのです。
「レ・ミゼラブル」の物語におけるジャベールの役割と追跡の背景
ここではジャベールの役割と追跡の背景について解説します。
ジャン・バルジャンへの執拗な追跡
冷酷で残忍なまでに法に忠実な性格をしており、法を破って生きるジャン・バルジャンを始め、犯罪者集団を率いるテナルディエは、国家に反逆せんとする学生達ですら断固として制裁を加える姿勢をとっています。
特にバルジャンに対する執念と憎しみは並みではなく、彼らの追い追われる姿が「レ・ミゼラブル」の軸ともなっています。
法と正義に対するジャベールの葛藤
ジャベールは法律の番人として、法律を守ることが正義と信じそれを生き甲斐としていました。
しかし、その法律を定める政体が、専制君主制から共和制へと変わり元々法律は倫理に従うべきものであることに気がついたのかもしれません。
ジャベールの葛藤と苦悩は作中でも登場します。
ジャベールの自殺に至るまでの苦悩
1832年 ジャン・バルジャンを捜索する傍ら、六月暴動の鎮圧の命を受けバリケードにスパイとして潜り込むがアンジョルラスらに捕えられ殺されかけます。
そこに現われたバルジャンに助けられ、自身の信念の崩壊を感じ自殺を決意をするのです。
6月7日未明、ノートルダム橋からセーヌ川に投身自殺しました。
法を犯すジャン・バルジャンに助けられたのがよほど屈辱だったでしょうか?
それとも、かつてジャン・バルジャンがミリエル司教に救われたように最期はジャベールも救いがあったのでしょうか?
「レ・ミゼラブル」の革命とエポニーヌの関わり
ここでは革命とエポニーヌの関わりについて解説します。
エポニーヌの片思いと革命での犠牲
隣室に住む学生革命家のマリウスに恋をしますが、マリウスは醜く教養もない彼女に見向きもされていませんでした。
それどころか、友達のコゼットに一目惚れしてしまうのです。
しかし、エポニーヌの片思いは成就されませんでした。
エポニーヌの自己犠牲と物語の転機
エポニーヌはまともな両親の元で産まれ生きていたら、教養がある素敵な女性になっていたかもしれませんね。
そう思うと「エポニーヌがとてもかわいそう」という声が聞こえてくるのがわかります。
しかし、大好きなマリウスの腕の中で最期を迎えることのできたエポニーヌの自己犠牲の精神はとても立派だと思いました。
エポニーヌがいてくれたお陰でマリウスの命は助かり、コゼットも生きることができたのですから。
まとめ:「レ・ミゼラブル」のあらすじと主要な登場人物、事件を振り返って
今回は「レ・ミゼラブル」のあらすじや主要な登場人物、事件のあれこれについてお伝えしてきました。
「レ・ミゼラブル」のタイトルは「あぁ無情」という和訳がよく知られていますよね。
しかし、単に惨めという意味だけでなく、「極貧状態の人々」「社会の底辺にある人々」という意味もあります。
フランス革命とその後の激動の歴史を知るのにもおすすめな作品ですので、歴史の勉強にもなるかと思います。
登場人物が経験するあらゆる事件を目の当たりにして、読者はどういう感情を抱くのでしょう。
また登場人物に感情移入することで、世界史の勉強もより捗るのではないでしょうか?
「レ・ミゼラブル」に興味を持ったあなたは、ぜひ書籍でも愛と赦しの物語を堪能してみてくださいね。
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